設備の整っていない場所をステージに変える方法。

ステージの見せ方を考えてやまない
長老と若者の往復書簡 その15

syokann

往路 長老 いしはらとしひろ から 前途有望な若者 山本優作へ

ヤマモトよ。
誕生日を迎えた上に引っ越し。何やらめでたい様子じゃの。
この調子で年を取っていけば、わしを追い抜くのもあっという間じゃろう。
早く年取れ。

しかも、何もない部屋にホワイトボードが鎮座しているそうな。
働け、っつーことだろうな。
働け。けけけ。

ヤマモトの部屋も、まだ「設備の整っていない状態」のようじゃの。
そこでいい仕事をするのと、設備の整っていない会場・ステージでよいライブをする、というのも何やら似ているようじゃの。

仕事とかしているとこういうやつ、おるじゃろ。
「この仕事やるには、あれとこれがなきゃ」
「この環境じゃ、できません」
「こんな状況で仕事させるんですか。」
まぁ、そう言うのももっとも、ということもままある。
じゃが、わし嫌いなんよ。仕事の現場まで来て、あれができねえこれができねえ、あれがないと、と言い垂れるやつ。
もちろん、仕事の環境が整っているに越したことはない。
でも、今あるものでその場は最上を尽くすしかない、というケースもままある。

大変なんだけど、そういうの、結構好きなんよ、ワシ。

条件が整っていないところで何かを生み出す、よりよくするのは「前向きに考えること」である。
何もないのを逆手に取る。
そこにはないなにかを「あるかのごとく」見せかける。

もちろん、素のままでいいんだよ、設備も何もないところでやるんだからさ、という考え方もある。

じゃがな、実力のない輩が「素のまま」などということを言い出すと、これはもう悲惨の一言。「素」で通用するのは実力のレベルが相当上に人だけじゃ。

条件がよくないところでいいものを作り出そうとすると、人は工夫をする。
これが大事なのだな。
条件がいいと、それに甘えてしまって考えないからな。
もちろん、よい条件を生かしてよりよいモノを作り上げるのが、求められることではあるのだが。

ワシも含め修行中のミュージシャンはあれだな。
佳い環境が整った中でのライブと、良くない、何もないような環境でライブをやるのと、両方をおなじくらい体験しておいたほうがよいな。
「どんな条件の下でも、お客様に届かせること」を、真剣に考えるようになると思うぞ。
そういう思考モードに入れるだけでも幸せなことだと思うのじゃな。
それが歌や人様に何かを見せること、の進化・進歩につながるのじゃよ。

ヤマモトよ、いっそのことお前様の部屋も設備はホワイトボードまでで、ストップさせたほうがよいのではないか?
きっとすごい仕事ができると思うぞ。うむ。

初秋の風に揺れるイケメン 山本優作 から 長老 いしはらとしひろ へ

事務所、いいですよ。
元々「テーブルとホワイトボード以外は置かない」というコンセプトで作ってあるんです。
他の必要最低限は、クローゼットの中に小さく整理整頓してまとめています。

何もないっつーのは最高ですね。
集中力がとんでもなく研ぎすまされるし、雑念が沸いて仕事が止まるっていうことがありません。
それに触発されて、実家の仕事部屋からもかなりのゴミを出しました。

だからアレは、「設備が整っていない」んじゃなくて、「設備が必要のない」形を目指した結果なんです。

これは働き甲斐がある・・・ふふ・・・

閑話休題、ステージの話しですね。
むしろ僕なんかは、照明や音響の無いステージが多かったりするんですよ。
生音が好きだし、お客さんとの距離も近いし。
何より、会場の使用量がグッと押さえられるし(ここ重要)。

大事なことはいしはらさんが言ってくれたので持論に走りますが、やっぱり設備が完璧な場所の方が異常なんですよ。
音なんか楽器と声帯から出たまんまがありのまんまでねぇ、まだ歌い出してもないうちからバッチリ見えちゃってて。

そういう他の人が準備してくれた演出のないところでね、どれだけ自分を演出できるかっていうのが、ひとつの大事ですよね。
事務所なんかでもあれなんですよ?
ホワイトボードとテーブルがあればね、それで充分仕事できるんですよ。
やれファイリングボックスが必要だとか、やれ美人秘書が必要だとか、んなこと言うヤツはロクなもんじゃないですよ?
美人秘書は欲しいけど。
できたら、ちょっとエッチなお姉さんがいいけれど。

だから本当にね、色んなところで色んなライブをしてね。
難しいことじゃなくて、「色んな現場がある」ってことが分かってきたらね、それでいいんですよね。
それぞれの場所でその現場を持ってる人が、それぞれに頑張ってるんだもの。

そう思っていけばね、「あぁここはマイクがあるんだ有難いなぁ」とかね、「あぁここはステージが段になってるんだ素晴らしいなぁ」とかね、謙虚な気持ちになるってもんですよ。
機会があるだけでラッキーなことなんだから、いしはらさんが言うようにね、その場その場で工夫をして、やっていける胆力を持つというか、んもうどんな球もヒットにしちゃうぞぉくらいの気合いでね。
やっていきたいですよね。

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